カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その3   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

子供の権利、親の義務


働く母さん、カナダ子育て奮戦記

日本でも離婚率が高くなっているが、カナダの離婚率に比べるとまだまだ大したことはない。カナダでは、結婚した夫婦の4割から5割近くが離婚してしまうという。その後再婚する場合も多いので、離婚した夫婦の子供たちには、実の両親や兄弟の他に、義理の父母や兄弟ができる。前夫、前妻間の関係だけでなく、義理の親子、義兄弟間の人間関係もかなり複雑になる。その上、親が再婚して異母兄弟、異父兄弟が生まれると、それに輪をかけて複雑になる。親が離婚すると、そのしわ寄せは子供たちにくる。子供たちは大変なのだ。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記

両親の離婚後、子供が未成年の場合、普通、両親のどちらかと同居することになる。離婚した両親が共同親権を持つ場合、その子供には、同居していない親とも、裁判所が決定した頻度や期間で一緒に時間を過ごす権利がある。子供の権利であると同時に、親の義務でもある。この義務を果たさないと、親権を失うことになりかねない。

うちは今のところ離婚する予定は全くないが、国際結婚している夫婦が離婚すると、問題はもっとややこしくなる。離婚後、婚姻というカナダに滞在する理由がなくなっても、子供の親権を共有する限り自分の国には長期的には帰れない。親権を放棄して単独帰国するか、前夫、前妻に黙って子供を連れて帰るしかない。親権を放棄するということは、一生子供に会えない可能性もある。黙って連れて帰れば「誘拐」扱い。居所が突き止められれば、警察のお世話になることになる。国際結婚に限らず、離婚後、片方の親が前夫,前妻の了解なしに子供を連れて国外に出たことで、誘拐罪で指名手配、逮捕されるケースが実際にある。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記

離婚していない夫婦間でも、妻や夫だけが子供を連れて国外に旅行する場合、相手が了解していることを証明する手紙が必要になる。例えば、私が子供たちを連れて日本に行く場合、その目的、日程、行き先、子供の名前や年齢などを記述し、夫が了解し署名をした手紙を用意していく。この手紙がないと、出入国するときに面倒なことになるらしい。夫に黙って国外に出てしまうと、私が誘拐罪に問われる可能性があるのだ。そんな面倒なことになっては困るので、いつも必ず手紙を書いてもらってから日本へ行く。備えあれば憂いなし。

それでも、最近時々考えるのは、子供たちが成人して私に養育義務がなくなり、もし夫に先立たれたら、私はどこに住もうかということ。こちらでの仕事もあるし、住み続けることも可能だが、もっと歳をとったら状況はどう変わるのだろう…。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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