カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その5   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

お宅では何語?


働く母さん、カナダ子育て奮戦記両親の母語が異なる家庭で、子どもに両親それぞれの母語を教えるには、「一親一言語」というやり方がいいらしい。例えば、お父さんとは英語だけ、お母さんとは日本語だけで話すことになる。子どもには、絶対もうひとつの言語で話してはならない。我が家では文字通りこれを実践しているが、子どもたちが大きくなればなるほど難しくなってくる。子どもたちがまだ小さい頃は、お母さんは日本語しか喋れないから日本語を話すんだよ、と言い聞かせていた。ところが物心がついてくると、どうもお母さんは英語も喋るらしいとこうことが解り、この口実が通用しなくなる。そこからが大変だ。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記幼稚園に通う頃は、まだまだ日本語勝ち。小学校に上がりキンダーに通い始めると、これが変わり始める。1年生になり、学校で過ごす時間が半日から一日になると、どんどん英語勝ちになる。BC州にいる限り、当然、一歩家の外に出ると周りは英語だから仕方がない。でも諦めるわけにはいかない。日本語と決めたら、絶対に日本語でしか話さない覚悟がいる。こちらが日本語で話しかけても、英語で返事をしようとすることもあるが、それではあまり役に立たない。子どもも日本語で話すことに意味がある。これが、当初思ったよりかなり難しいのだ。最近では、日本語で質問をしてこないと返事をしないことにしている。何を質問したのかを日本語で聞き返す。子どもたちは日本語に変えて同じ質問をせざるを得ない。英語のほうがよっぽど楽だと思うこともあるが、私が折れるわけにはいかない。私の子どもでいる限り、日本語で話し続けるしかないのだ。どうだ参ったか、子どもたち!

働く母さん、カナダ子育て奮戦記さて、ご多分に漏れず、私の子どもたちも日本語学校に通っている。お母さん以外の誰かと日本語を話すほとんど唯一の機会である。同じクラスの子どもたちとも、授業中は日本語で話す。週1回2時間の授業で、日本では半年で終わる教科書を一年かけて学習する。宿題も出るので、週2時間以上は確実に日本語を勉強していることになる。ただし、学年が上がるほど、日本の同学年の子どもたちから遅れをとることになるが、これは仕方ない。ゆっくりでもいいので、特に漢字を覚えてほしい。漢字が読めると、文章内容の理解度がかなり上がると信じている。実際、子どもたちに1年生の教科書を読ませてみると、読みにくいという。最初は漢字が出てこないからだ。音読みと訓読みがある漢字は、どちらかの読みが解らなくても、読めるほうから意味が推測できる。

その道程は長そうだが、親の密かな願いとして、新聞が読めるくらいになってほしい。
もう少し学年が上がって自分で科目を選ぶようになったら、日本語も選んでくれるかなあ…。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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