カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その6   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

PACの仕事


働く母さん、カナダ子育て奮戦記私が子どもの頃、母は何度か学校のPTA役員をしていた。父の仕事の関係で引越しが多かったので、母にとって、他の父兄と知り合ういい機会になっていたと思う。私も今、子どもたちの通う小学校のPTAの役員をしている。その仕組みは、基本的に日本と変わらないようだが、少し役割が違うような気がする。PAC(Parent Advisory Council) と呼ばれるこの役員会は、いろいろな学校行事の手伝いだけでなく、資金調達もする。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記学校運営に関わる資金については、BC州から補助金が出る。しかし、その金額はこの間また減額され、子ども一人につき年間10ドルになってしまった。この補助金は、前年度の生徒数を基に支給されるため、生徒数の少ない学校では当然補助金も少なくなる。例えば、生徒数150名の学校では、年間1,500ドル、日本円にして12万円ちょっと。課外活動やそれに伴うスクールバス代など、すべてを賄うには金額が少なすぎる。つまり、足りない分は父兄が経費の一部を負担するか、PACが資金調達のための催し事を行って寄付を集め、それを充てることになる。日本でも、父兄が主催してバザーを開いたりするが、こちらではその種類が多い。学校の設備について大きな買い物をする時も、主に政府関連の団体に補助金を申請するか、PACが資金調達をする。補助金は、申請しても支給されるとは限らないため、ほとんどの場合、調達した資金で賄うことになる。先立つものがなければ行事が行えないのだ。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記毎月行われる役員ミーティングでは、役員が各自の受け持ちの仕事、主に行事や資金調達の活動について報告し合う。会計役員が大まかな収支報告を行い、校長先生からの報告もある。授業に関する活動だけでなく、課外活動、担任の先生方の活動についても知ることができ、かなり細かいことも話題に上る。PACは、学校と父兄のパイプ役ともいえるので、父兄からの意見を伝える役目もする。

学校運営に欠かせないPACだが、なかなか役員のなり手がいないのが悩みの種だ。特に我が家の子どもたちが通う小学校は、生徒数が少ないうえ、母語が英語でない家庭が多い。ボランティアとしてなら時間を惜しまず手伝ってくれる父兄も、「言葉の壁」を感じているため、役員になることには躊躇してしまうらしい。これではますますなり手が少なくなる。規約では、任期二年が望ましいことになっているが、なり手がいないため、ほとんど同じメンバーが、役職を変えて役員を続ける傾向にある。私も初めはボランティアとして協力していた。日中に行事や活動があることが多いため、時間に制約のある仕事をしていると手伝えない。フリーランスというと聞こえはいいが、要は自営業。時間の融通が利くことから、役員のお鉢が回ってくる。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記時々、なぜPACの仕事をしているのかと尋ねられる。子どもたちの学校での活動について知りたい、というのも理由のひとつ。だが、日本の義務教育を受けた私にとって、カナダの義務教育を垣間見る大変いい機会なのだ。日本も、私が小・中学生だったン十年前とはかなり変わっていると思うが、それでも、基本的な違いがあると感じる。特にこちらでは、低学年のうちから、自分の意見を発表する機会が多いと思う。そこですぐに思いつくのがShow & Tellだ。自分のお気に入りの物を何か持って行き、発表する。
何でもいいから話したいことをクラスメートの前で話すのだ。例えば、大好きなぬいぐるみのことを話してもいい。また、学年が上がると、プレゼンテーションの仕方も教わるようで、発表の様子をビデオに撮ったものを父兄が見る機会もある。あくまでも、自分の意見を発表することが大事なのだ。得手不得手はあっても、こういうスキルは、早くから身につけておくに越したことはない。

それにしても、下の子が卒業するまでまだ何年もある。きっと私もそれまで、PACを「卒業」できないんだろうなあ…。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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