カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その9   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

今日の晩ご飯、なあに?


働く母さん、カナダ子育て奮戦記

    「いつも、どんな日本料理を食べてるんだい?」 夫が、日本人と結婚していると言うと、必ずと言っていいほどこう聞かれるそうだ。どうも、日本人は毎日和食を食べていると考えているらしい。

    日本人と言っても、日本に住んではいないし、夫も日本人ではないので、毎食和食というわけではない。日本に住む日本人でも、朝はトーストにコーヒーという家庭はたくさんあるはずだ。日本の子どもの好きなおかずでも、ベスト10には、カレーライス、ハンバーグ、スパゲティーが必ず入る。日本の「洋食」ではあるが、正真正銘の和食でもない。

    私が住む辺りでは、日本の食材は簡単に手に入るが、どうしても割高になる。主食のお米も、日本から輸入されたものが買えるが、高くつく。代用できる材料は代用しても、毎食和食を作っていては、エンゲル係数が高くなり、家計に響く。和食を作る時でも、外国人にとっての日本料理の定番の、「寿司」や「天ぷら」のように下準備に時間がかかるものは、あまり作らない。我が家では、ご飯にお味噌汁や納豆がついて、おかずが二種類、というパターンが多い。時間をかけずにできて、それなりに美味しいものを作ることになる。ちょっと行儀が悪いが、子どもたちはご飯にお味噌汁をかけて、勝手に「ねこまんま」にして食べたりもする。さすがに納豆は食べないが、基本的にお父さんも同じものを食べる。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記    そうかと思うと、お父さんが和食を全く食べないので、晩ご飯を二種類作るところもあるという。私も実際そういう家庭を知っている。例えば、お母さんと子どもたちは、ご飯にお味噌汁とおかずを食べて、お父さんは、ステーキにジャガイモと付け合わせの野菜を食べる、という具合だ。同じ食卓につきながら、家族が「同じ釜の飯を食わない」のだから、違和感がある。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記    外国人と結婚すると、相手が生まれ育った国の文化もついて来る。「食」も文化の一部である。相手の国の文化をある程度知っていたり、言語を勉強したことがあるとか、その国に住んだことがあると、食べ物もOK、ということが多いようだ。大袈裟かも知れないが、私には、自分の国の文化や食べ物が受け入れられないということは、自分のアイデンティティーまで否定されているように感じられてしまう。しかし、日本人同士が結婚しても、生まれ育った場所、方言、家庭環境が違うと上手くいかないことはあるはずだ。相手が外国人であっても、国境を越えるだけで、その本質は変わらないと思う。赤の他人だった者同士が一緒になるのだ。そう簡単にいかないのが当たり前だと考えると、かなり気が楽になる。

    でも時々、もし日本人と結婚していたら、私の人生はどうなっていただろうと考えることがある。多分、カナダには住んでいなかっただろう。日本のどこかで、全く違う人生を歩んでいたかもしれない。「出会い」とは本当に不思議なものだ。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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