カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その10   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

カナックスが負けた!


    バンクーバー・カナックス(通称カナックス)が負けた。スタンレー・カップのトーナメント戦で、シカゴ・ブラックホークスにあっさりと負けてしまった。今年こそと、かなり期待は高まっていたようだが、またも優勝の夢は破れてしまった。これまで2回決勝に進出しているが、いずれも負けに終わっている。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記

    カナックスは、北米プロ・アイスホッケー・リーグ、NHLの一チームで、バンクーバーを本拠としている。バンクーバー周辺では、カナックスが地元のチームとしてとても人気がある。私は、特にホッケーのファンではないが、シーズン中はテレビ、ラジオ、新聞など、メディアが挙ってカナックスの勝ち負けを取り上げるので、嫌でも情報が入ってくる。放送の仕事に携わっている人たちも、ファンであることが多いので、応援しているチームが負けたことを報道する時は、仕事とはいえ、心無しか声に元気がなく、がっかりしている様子が伝わって来る。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記

    多分この雰囲気は、日本のプロ野球や、サッカーの盛り上がり方に似ているかもれない。「ゲームナイト」と呼ばれている、試合のある日は、早目に仕事を切り上げて、家に帰ってテレビで観たり、前売り券を買って観戦しに行く。地元のバーなどには大きなテレビがあり、ファンが一緒に盛り上がる。週末に試合があると、ビールやスナック類を買い込んで、友達と一緒にテレビの前にかじりつく。熱狂的なファンは、この時期、あまり仕事が手につかないらしい。企業の生産性も下がり気味のようだ。けれど、これを逆手に取って、ホッケーを、社員のチームワークを高める手段として利用している企業もあるらしい。

    この時期、ファンにとって、世界はホッケーを中心に回っている.それ以外のことは二の次。奥さんやガールフレンドがいようが(熱狂的なファンは、圧倒的に男性が多い)、家族があろうが、どうでもよくなってしまうらしい。実際、ウェブサイトをベースとしたスラングの辞書にも掲載されているが、「ホッケー未亡人」(Hockey Widow)という言葉すらあるくらいだ。ちなみに私の夫は、カナ ダ人にしては珍しく、勝ち負けに一喜一憂するほどまでホッケーに関心はない。おかげで、私は「未亡人」にならずにすんでいる。

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    ところで、カナダの御家芸とされているホッケーは、一体いつ頃始まったんだろう。その起源には諸説があるが、1860年代に、軍人が氷上でパックを使って試合をしたのが始まりらしい。その後、1879年に、ケベック州のマックギル大学の学生が、フィールド・ホッケーやラグビーなどのルールを元にして始めたものが、現在のルールの基礎になった、という説が有力なようだ。

    カナックスがトーナメント戦から外れてしまった後、カナダのチームで勝ち残っているのは、唯一、モントリオール・カナディアンズ(通称カナディアンズ)。このチームは、これまでに24回スタンレー・カップで優勝している。ホッケーのプロを目指している人達は、いずれカナディアンズでプレイすることを夢見るらしい。ホッケーの殿堂入りをしている選手たちにも、一度はカナディアンズでプレイした選手が多い。
カナックスのファンも応援するカナディアンズ、この先どこまで勝ち進むだろう。熱狂的なファンではないけれど、私もちょっと気になるところだ。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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