カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その13  By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

我が家の「年女」


我が家の「年女」

我が家の「年女」    上の娘が先月12歳になった。「年女」である。来年は小学校を卒業する。ちょうど、小学校のキンダーのクラスに通い始める5歳の時に、それまで住んでいたタイからカナダに引っ越して来てから、かれこれ7年も経ってしまった。その子が、小学校を卒業するのだ。私も年を取るはずだ…。

    小学校卒業といえば、私は、転校してきて半年しか通わなかった小学校を卒業した。確かに、6年間の小学校教育を終えたことにはなるが、そんなことで、あまり感慨のない卒業経験である。それでも、皆と同じように卒業文集に作文を書いた。皆さんは卒業文集に何を書いたか覚えているだろうか?私の学校では、作文の他に、「西暦2000年の私」という将来の自画像を描いた。その頃、何をしているかも書くようになっていた。女子のクラスメートの多くが、「優しいお母さん」とか「かわいいお嫁さん」と書いていた。ところが、私はというと「保母さん」。(結局保母さんにはならなかったが、大学では社会福祉学を専攻した。方向性としては初心を貫いたかと思う。)私の頭には、「自分が結婚する」という概念が存在しなかったようだ。確かに、ウエディングドレスに憧れたとか、結婚したら子供が何人欲しいかなんて考えた記憶がない。大人になったら、自分は働いて自立するものだと漠然と考えていたんだと思う。我ながら、現実的な子供だった。

    そんな私の血を引く娘も、暫く前からなりたいものがある。それは「獣医」。動物好きの彼女は、もし獣医になれなくても、とにかく動物に接する仕事がしたいらしい。夏休みにアルバイトが出来る年になったら、ボランティアでもいいから 動物シェルターで働きたいと言っている。相手が動物とはいえ「医者」である。血を見る機会もあるし、手術をしなくていはならないこともあるはずだが、それも平気らしい。(多分、平気だと思う。)勉強しないとなれないんだよと言ったら、本人なりに納得していた。「結婚」の予定はとりあえずないらしい。

我が家の「年女」    しかし、この子が生まれてからもう12年も経ってしまったことが、何だか信じられない。だいだい、私が結婚して子供を産んだこと自体、信じられないのだ。柄にもなく感慨に耽り、久しぶりに子供たちの小さい頃の写真を見た。あらまあ、何と可愛いこと。親バカでかなり贔屓目に見ているとは思うが、赤ん坊の頃はただただ可愛い。まるで輪ゴムをはめたようにムチムチ、プクプクした手首足首。おむつをしたおしりを振りながら歩く姿。ご飯を食べている途中で、眠くなってそのまま寝てしまったところ。何にもなかった歯茎に、米粒のような乳歯が生えたところ。その乳歯が全部生え揃い、永久歯に生え変わり初めの前歯のない笑顔。顔の形もだんだん変わり、まん丸のほっぺたがだんだん痩せてきて、子供の顔になり、更にもっと大人びてくる。10年ちょっとのうちに、こんなに変わってしまうのだ。

    私より10年早く子供を産んだ友達は、上の子が二十歳を過ぎた。その子は自動車の運転免許も取った。来年は大学を卒業する。私はといえば、これから本格的な反抗期に入ろうというところ。その友達は、最初の10年はゆっくりだけど、次の10年はあっという間に過ぎてしまうから、今を十分に楽しみなさい、という。子供たちの10年先が、まだちょっと想像できないが、彼女の言う通り、良いこと悪いこと、十分楽しませてもらおう。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



Top of page


1981-2009 Copyright (C) Japan Advertising Ltd. Canada Journal, All rights reserved.