カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その22  By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

カルチャーショック?


カルチャーショック

     語学留学やワーキング・ホリデーでカナダに来ている人たちは、こちらで一体どんなカルチャーショックを受けているのだろう。食事の作法から、浴室の使い方、土足で家に入ることまで、習慣の違いから戸惑うことがいろいろあると思う。

カルチャーショック    もう二十年余り前、何を隠そう、私も英語を勉強する留学生だった。大学卒業前の就職活動はぜず、渡航資金を貯めるため、学生時代からのアルバイトを続けていた。語学学校を決め、留学紹介エージェンシーを通して、イギリスのロンドン郊外のホームステイ先も紹介してもらった。最初の3ヶ月はホームステイをし、その後アパートを借りることに決めていたし、その場所も目星がついていた。夢にまで見たイギリスに旅行ではなく住めるのだ。

    成田空港を発った機内では、やっとロンドンに住めるという嬉しさで、あまり不安は感じなかった。ヒースロー空港に降り立ち、地下鉄でホームステイ先に向かい、ホストファミリーとの挨拶もそこそこに、スーツケースも開けずに昼寝をした。ところが、安眠していた私は突然起こされた。何事かと思い、聞き慣れない英語を一生懸命聞くと、今すぐ一家でどこかに発たなければならないと言っているようだ。状況がよく理解できないまま、留学紹介エージェンシーに連絡され、オフィスまで行って、新しいステイ先を探してもらわなければならなくなった。(今考えると、あれは「夜逃げ」だったんだと思う。)

カルチャーショック    イギリスの冬の夕暮れは早い。夕方と言ってもまだ早い時間だったが、辺りは既に薄暗かった。ロンドン郊外からまた地下鉄に乗って、オフィスの最寄り駅まで行かなくてはならない。スーツケースは重いし、途中から小雨がぱらついてきた。長いフライトで疲れた身体を引きずってオフィスについた頃には、すっかり夜だった。右も左もわからないまま、いきなり路頭に迷う羽目に合うところだったが、すぐにステイ先が見つかった。ただし、そこまでまた地下鉄に乗らなくてはならなかったが…。

カルチャーショック     無理を承知でお願いしたようで、私が最初の一週間を過ごした部屋は、その家の下の娘さんの部屋だった。そのホームステイ先は、他にも何人か留学生がステイする賑やかな家だった。その家でホームステイを始めて、最初のカルチャーショックは、思わぬところからやっきた。ある晩、夕食の後に、ホストマザーのお皿洗いを手伝うことになった。流しにお湯を溜めて洗剤を入れ、そこに使った食器をつける。それを洗ってラックに乗せるが、あれっ?泡が…。全部洗い終わってから濯ぐものだと思いきや、濯がずにティータオルで拭き始めた。そんなのあり?濯がないということは、食べ残しや、洗剤が食器に残ったままということ。それを次の食事に使うのかと考えると、すごく気持ち悪いし、身体に悪そうだ。こんなことなので、機会を見ては自分からお皿洗いを買って出たり、洗い終わった食器を後からこっそり濯ぎ直したこともあった。同じようにホームステイをしていた友達に尋ねると、食器を濯ぐところもあったが、私と同じように驚かされた友達もいた。

カルチャーショック     それから時は流れ、当時「彼氏」だった夫が、働いていた日本からカナダに一時帰国した。それに便乗して、私もゴールデンウィークをはさんだ有給休暇をとり、初めてカナダに行った。滞在先は、もちろん夫の両親宅。泊めてもらう上、食事のお相伴に預かるわけだから、何か手伝わないわけにはいかない。一般家庭でも食洗器があるのが普通だったので、あまり機会はなかったが、お皿洗いも手伝った。そこで発見したのが、夫の実家では洗剤で洗った食器を「濯ぐ」こと。夫のお母さんが濯ぐこということは、夫の母方のおばあちゃんもそうしていたはずだ。些細なことだが、毎日のことである。これが原因で「別れる」ということはないとは思うが、習慣はなかなか変えられない。

皆さんの家では、誰が食器、濯いでますか?

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

主に翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、現在カナダ在住7年目。
只今、何か新しいビジネスを始めようと模索中。。



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