カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その24  By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

携帯電話 その2


携帯電話

    携帯電話が生活の一部になって久しい。どこへ行くにも携帯持参。今では私も携帯電話を使うが、どちらかと言うと、持ちたくないと思っていたほうだ。いつでもどこでも電話がかかってくるというのが、煩わしく思えていた。ところが今では、家に忘れてきた日は、何だか手持ち無沙汰に感じるようになってしまった。ただし使うと言っても、私の場合、電話以外の機能を使うことが多い。

    いきなり、設定場面が「お手洗い」になってしまって恐縮だが、先日、仕事帰りに、とある駅近くの小さな地下街(のような所)のお手洗いに入った。すぐ後から、電話をしながら入ってきた人がいた。わりと大きな声で話しているうえ、反響する。お手洗いの個室に入ったら電話を切るかと思いきや、そのまま話し続ける。私まで、聞きたくもない話に付き合わされることになってしまった。耳に入ってくる内容を聞く限りでは、緊急を要する用件でもない。個室が2つの小さなスペースには、日本のように「音○」が付いているわけでもなく、全ての音が筒抜け。それでも話し続ける。結局彼女は、普通に用を足し、普通に手を洗った後、これでもかというほどガチャガチャとペーパータオルを出して使い、普通に出て行った。

携帯電話    確かに今までにも、お手洗いで電話をしている人を見かけたことはあるが、個室の中でも話し続ける人は初めてだった。そこまでしなくても…、と思うのは私だけだろうか?
一度切ってから、かけ直すこともできるはず。そんなに大事なことを話しているのだろうか?それなら、もう少し落ち着ける所で、続きを話せばいいのに…。

    とても気になったので、回りの人たちに尋ねてみた。すると、家ではお手洗いに電話は持って入らない。出先のお手洗いで電話がかかって来ても、一度出てから折り返し電話をするか、初めから出ない、という意見がほとんど。いろいろ聞いているうちに、食べながら電話をするかどうかという話になった。口の中で物を噛む音を相手に聞かせるのかという意見。そこまでして電話をする必要があるのかという意見。どの意見も、食べながら電話をするのは相手に失礼という考えに基づいている。子どもの頃、食べ物を口に入れたまま話した日には、「お行儀悪い。」と叱られた。結局、どちらもエチケット違反という意見に落ち着いた。

携帯電話    いつでもどこでも使える携帯電話の便利さが、お互いの私生活に入り込み易い状況を作ってしまったのかも知れない。所構わず電話が鳴り、多少取り込んでいても電話に出てしまう。会話に夢中になると、回りの音が聞こえなくなる。だから、電車やバスの中で、電話の向こうにいる相手と痴話げんかをしたり、誰かの悪口を言ったり。周りに聞こえているという感覚がなくなるから、自然に声が大きくなる。

携帯電話    日本では、公共の交通機関では携帯を使わない、という暗黙の了解がある。「車内ではマナーモードにし、通話はご遠慮ください。」という放送が流れたりするのは、「傍迷惑」という感覚があるからだと思う。だから、車内で着信音が鳴ったり、電話に出たりすると、白い目で見られる。感覚の違いと言ってしまえばそれまでだが、赤の他人の人生相談に興味はないから、できれば聞きたくはない。だから私は日本式がいい。

     こんな風に、時には煩わしく感じることもあるが、本当に便利になった。ほんの10年程前までは、「持ち運びのできる電話」だった携帯電話が、今ではどうだろう。Eメール機能やインターネット接続機能がついてしまった。コンピューターとシンクさせられるので、カレンダーや住所録をわざわざ別に作らなくてもいい。まだまだ新しい機能が出てきそうだが、流行の波にあまり乗り遅れないように、機能を使いこなさなくては…。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

主に翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、現在カナダ在住7年目。
只今、何か新しいビジネスを始めようと模索中。。



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