ようやく綿の雪が舞い始め、夏の到 来をつげています。おくれがちにも新緑が日に輝きます。夏の風物詩である芝刈り機の音があちこちで響くようになりました。
我家の庭にも、色とりどりの花々が 咲き始めました。わたしは園芸がとても苦手で、いろいろやりたいとは思うのですが、何度やってもうまく行った試しがありません。
頭の中には美しい庭づくりをイメー ジするのですが、なぜか出来上がりは惨憺たる結果におわります。それでも、たくましい植物たちは、厳しい冬を越え、きちんと芽を出し、新しい花を咲かせてくれます。本来、自然のものが持つ力とはそういうもので、他者の余計な介入は必要のないものなのでしょう。花 開く植物の中には美しい庭の大敵のたんぽぽやバターカップ、オオイヌノフグリなどもしっかり育ってきます。この花々も咲けば咲いたで可憐できれいですが、残念ながらお庭では嫌われ者ですね。
でも、たんぽぽの若い葉は、そのま まサラダにできますよ。刈り取る前に少し試食してはいかがでしょう？バターカップはきんぽうげの1種ですが、こちらもかわいい形の花ですね。芝刈で刈ってしまうのが惜しいです。オオ イヌノフグリは春にはぴったりの小さな青紫の可愛い花をたくさん咲かせてくれます。小さいころからこの花が大好きで、
どうしてこんなひどい名前をつけられてしまったのでしょうね。 でも、この花にはもっと素敵な名前があるんですよ。天人唐草（テンニンカラクサ）、瑠璃唐草（ルリカラクサ）、星の瞳（ホシノヒト ミ）など。これなら姿形にぴったりですね。（ちなみに英語名はPersian speedwell,、Bird’s eye）。
芝刈をするときはごめんね、って言いながら刈ってしまうのですが、数日もするとしっかり新しい花芽を伸ばしますから驚きの生命力です。
花々は茎も葉も細くて、薄くて、風にゆらゆらと踊り、雨に頭をたれ、日にすっと伸びて、たおやかで美しい姿ですが、その芯はとても強い生 命力を秘めているのですね。私たちも自然の中から生まれたものです。それならば植物たちと同じ、芯の強い生命力を持っているはずで す。わたしたちはときに欲にまどわされ、周りに惑わされ、自分を見失い、焦ったり、慌てたり、嘆いたりしがちです。が、そんなとき自 然の中でしなやかに生きる植物たちに思いを馳せて、ちょっと周囲の喧騒から離れて、自然の中に静かに身をおいてみてはどうでしょう か。自分を見つめ、自分を自然の中にゆだねてこそ、新しい生命力があふれてくる気がしませんか？
アイウエオな毎日 その16 By Michelle Igarashi 
Michelle Igarashi