カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その34 By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

校長先生



校長先生

    皆さんが通っていた小学校や中学校の「校長先生」。どんな先生だったか覚えているだろうか。

    私の校長先生のイメージは、月曜日の朝礼や始業式・終業式で「長〜い話をする先生」。学校に職員室はあっても、そこに校長先生の席はなく、「校長室」という、普段子どもたちは入れない特別な部屋があった。校長先生の名前はうろ覚えで、顔だってよく知らない。まして、校長先生と話すような機会は、全くといっていいほどなかった。それほど、馴染みの薄い、遠い存在だった。

校長先生    ところが、こちらの小学校では、何だか少し様子が違う。学校の大きさによるとは思うが、比較的生徒数の少ない学校では、校長先生が全校生徒の名前をほとんど把握している。一応、校長室はあるが、日本のように応接セットがあったり、立派な本棚があるような大きな部屋ではない。コンピューターの置いてある事務机と椅子、その他に、来客用にテーブルと椅子がいくつかあるだけの、何の変哲もない部屋である。秘書の人が使うスペースより、ずっと小さかったりする。

    さて、日本では、子どもたちが先生を呼ぶ時、「○○先生」と呼ぶ。保護者が呼ぶ時も同じ。こちらでは、普通に先生の名前にMr、Mrsなどを付けて呼ぶ。ところが、保護者が呼ぶ時、必ずしもそのように呼ぶ人ばかりではない。ちょっと日本では考えられないが、姓でなく名前で呼ぶのだ。子どもの担任の先生は当たり前で、校長先生まで名前で呼んでしまうのだ。

校長先生    私は、小学校のPAC(日本のPTAのような、保護者による学校運営グループ)の役員をしているから、先生方と話す機会が多い。先生のほうは、大概私を名前で呼ぶが、私のほうから名前で呼ぶことには、今でも違和感がある。それを、PACのメンバーのひとりに話したら、彼女も同じように感じていた。彼女は中国系。中国語にも「先生」にあたる「老師」という言葉があるから、予想はしていたが、案の定、彼女にとっても、先生を名前で呼ぶことには、かなり抵抗があるという。校長先生の存在についても、全く同じことを言っていた。担任の先生はまだしも、普段は、校長先生と話すことはない。校長先生と話すのは、問題を起こして呼び出された時。そんな存在である校長先生を名前で呼ぶなんて、とんでもないことなのだ。

    確かに、子どもたちの頭の中には、「校長先生の部屋に行く」=「怒られる」という図式はあるようだが、必ずしも、怒られる場合ばかりではない。例えば、子どもたちが、学校を挙げてのプロジェクトを立ち上げたいと思ったら、担任の先生の了解のもと、校長先生に「直談判」をすることだってある。学校外で行われる行事にも、校長先生が同伴する。学校内でも、お世辞にも広いとは言えない校長室で、事務処理的な仕事をしている時以外、あちこちに出没する。校長室のドアも、ミーティングをしている時以外、常に開けっ放し。生徒や保護者と、校長先生との距離がかなり近い印象が強い。
一体、何がこの違いを生むんだろう。真相(?)を解明しなくては…。 そのためには、やはり下の子が卒業するまで、役員を続けるしかないようだ。


Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

主に翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、現在カナダ在住7年目。
只今、何か新しいビジネスを始めようと模索中。。



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