＜前回までのあらすじ＞
退院した父を連れてシンジ君は両親宅に帰った。久しぶりにみる両親の家は、自分が出たことで寂しい家になっていたことに気が付いた。

翌朝、シンジ君が台所に行くと、父はすでに普段着を着て台所で新聞を読んでいた。母は、普段よりずっと口数が少なくなって、台所で働いている。
父は、シンジ君をみると軽く笑顔を見せながら話し出した。

父は、努めて元気に見せようとしているが、口もとが多少おぼつかない。自分も笑顔を見せながらシンジ君は言った。

「早くカナダに帰れ」と言ったものの、シンジ君の言葉を聞いて父はうれしそうだった。
こうして、父と母と、また昔のように過ごせるとは夢のようだ。

そう思ったシンジ君は、この数日を一時もムダにしないで、父と母に接して過ごすことにした。両親に対する不満や絶望感がうそのように消えたことで、シンジ君は、両親と自分との間で、今までとはまったく違った関係が始まろうとしていることを感じていた。（続く）

ご紹介する単語やフレーズは、この物語のシチュエーションにマッチした英訳です。 シチュエーションによっては様々な単語やフレーズがあるので、類語辞典などを使って調べてみましょう。