私は旅行が大好き。
そう考えると、カナダは本当に恵まれた国だ。
トロントに滞在していたときは、たった3時間のフライトでキューバに行けたし、日帰りであのナイアガラフォールズにも行けたし、ニューヨークだってそんなに遠くない。 もし、語学学校の生徒なら、生徒専用の激安ニューヨークツアーに参加できるだろう。
バンクーバーに拠点を移してからは、バンフ、ビクトリア、ウィスラーに遊びに行ってきた。今回は、私の大好きな街、ビクトリアについて書いてみたいと思う。
ビクトリアはブリティッシュコロンビア州の州都だが、バンクーバーよりも静かでこじんまりした街だ。だが、見所が本当に沢山あって、全く飽きが来ない。女性ならば、なおさら惹き付けられる街だと思う。
それは、何故か。 まず、街並みがまるでヨーロッパの様。青銅の屋根の州議事堂は、広大な芝生の向こうにそびえ美しい。夜になると、イルミネーションがまた美しい。
クリスマスシーズンはさらに緑と赤にライトアップされるので、クリスマスシーズン(12月1日から一ヶ月くらい)に行くのもお勧めだ。 ビクトリアの魅力は景色だけではない。
イギリスの影響を色濃く残したこの街では、手軽にアフタヌーンティが楽しめる。
アフタヌーンティは昔、一日2食だった貴族の夫人が、昼下がりにお腹がすいて困った挙句に思いついた、軽食だ。
たいてい、どのお店でも良質な紅茶、サンドイッチにケーキやマフィンの盛り合わせが付いてくる。私の一押しはOak BayにあるWhite Heater tea room。Oak Bayはダウンタウンからバスで15分くらいの所にある、とてもおしゃれな一角だ。
こちらのティールームで、私が選んだ紅茶はBalmoral(バルモラル)。味は全く普通の紅茶なのだが、ジャスミンティーの香りがするのだ!
紅茶もジャスミンティーも好きな私にとっては、夢にまで見た紅茶。おもわず、アフタヌーンティの後に茶葉を80グラムテイクアウトしてしまった。
みなさんも、お好みの紅茶をセレクトしてみてはいかがだろうか?ウェイトレスは本当に感じがよく、紅茶の説明も実に細かくしてくれる。きゅうりのサンドイッチもみずみずしく、マフィンも歯ざわりが丁度良く、今思い出しても本当に幸せな気分になれる。地元のマダムに人気のお店なので、予約をした方がよいだろう。
そして、ビクトリアの更なる魅力。それは、やはり住民の人柄の良さではないだろうか?
私が靴ひもがほどけて、ちょっとしゃがんでいたら地元の初老のご婦人二人が後ろから声をかけてきて、『大丈夫?具合が悪くなったのかと思ったわよ。』との事。
正直、こんな体験はトロントでもバンクーバーでも無かった。 しばらく州議事堂の後ろをご婦人達と談笑して、本当によいひと時を過ごさせていただいた。ビクトリアは、海に面した温暖な気候と美しい景色に惹き付けられ、カナダ中のリタイアした人たちの憧れの街とのこと。少し観光地を離れると、確かに年配の方を見かけた。その分、街のペースがせかせかしておらず、癒されるのだろう。
そして、私がそんなほのぼのしたこの街で、見つけてしまった衝撃的な料理が一つある。
それは、ジャマイカン料理だ! こののんびりして、まるでヨーロッパの様なこの街に不釣合いな、ジャマイカンチキンを思いっきりほおばる。私個人的には、このミスマッチがたまらなく面白い。 州議事堂のすぐ裏にあるCafe Mulatta。見かけは、よくある北米風のカフェで、うっかり見逃してしまいそうな雰囲気。そして、中に入ってもウエイターはさわやかなカナダ人で、お客もカナダ人だらけ。本当にここで、ジャマイカ料理が存在するのか?と思ってしまう。しばらくして運ばれてきたのがこちら。
私の中で、カナダに来てから一番美味しかった料理だ。
全てが、完璧なのだ。プランタンチップス(揚げバナナ)とバルサミコの効いたドレッシングが程よくかかった新鮮なサラダ、そして、ジャマイカンチキン。ほろほろに煮込まれていて、ちょっとフォークでつつくだけで身が骨から離れてしまう。豆のライスも、程よく香辛料が効いていて食が進む。鶏肉本来の旨みと、ニンジン等の煮込まれた野菜から出る甘みとスパイスがからまり、こんなに完璧な一皿が出来上がってしまっている。
他店でジャマイカ名物、ジャークチキンや豆のライスを食べたが、比較にならないほど美味しい。オーナーがジャマイカ人との事で、納得。
この一皿のおかげで、今の私にとってはビクトリア、と聞くとジャマイカが浮かんでしまう。カナダは、移民の国だけに、こういうサプライズが日々あって本当に面白い。 それぞれの国の文化が、主張しすぎず、だが堂々と表現されている。 このお店にカナダの縮図を垣間見た気がした。