ライフ - 連載コラム記事
私のバンクーバー日記

椙村 邦子 さん

椙村 邦子 さん
(すぎむらくにこ)
愛知県春日井市出身・45歳

バンクーバーに居住して14年。
スキーのインストラクター、歌手、商社派遣社員、通訳などの経歴をもっている。現在はフリーライター。
将来はバンクーバーに住む日本人女性のためのカウンセラーになる夢をもっている。


  雨が多いバンクーバーの冬は、どうしても外出するのが億劫になってしまう。
でも、こんな時期だからこそ、とっておきの過し方がある。

  冬の時期、我が家の楽しみは、なんと言っても「スキー&スノーボード」。
バンクーバーから行けるスキー場といえば、次期冬季オリンピックを控えたウイスラーが有名だが、ローカルのスキー場も捨てたもんじゃない。

  なにしろ、どの山にもダウンタウンから車でおよそ30分ほどで着いてしまう。仕事帰りにナイターでひと滑り、子供たちが学校へ行っている間に2、3時間ほどスキーへ、「ちょっと、そこまで」という気軽な感覚! 
かく言う私も以前職場がダウンタウンにあった時は、仕事帰りにスキー場へ直行。そして駐車場で制服の上からスキーウエアを着込む…と、ちょっとクレイジーな時期もありましたね(笑)

グラウスマウンテン

ゴンドラで約10分足らずで
着いてしまう。

  日本にいた頃は、スキーやスノーボードをするのは、ちょっと大掛かりなイメージでした。道具やウエアーをそろえたり、スキー場までは遠いし、渋滞で時間がかかるなど、けっこう面倒くさい。しかしカナダに来てからスキー、いやスキー場に対してのイメージがかなり変わりました。スキー場が近いだけでなく、スキーヤー、スノーボーダーたちだけのサンクチュアリではないことを知るこんな事があったのです。

  先日、私たち一家と友人一家で「グラウスマウンテン」へ行く機会がありました。
ここは観光ガイドに必ず出てくる有名な所なので、ご存知の方も多いと思いますが、冬の「グラウスマウンテン」は、山のふもとからゴンドラで一気に上がると、そこはもう銀世界。しかも3つあるローカルスキー場の中でも、ダウンタウンから公共機関で行けちゃうくらいアクセスしやすいんです。
そのため車のない留学生や地元の若い人たちも多いけど、中にはどう見てもスキーやスノボード目的以外と思われる人の姿をよく見かけます。時には、ちょっと場違いなくらいドレスアップしている人も!? さて、彼らの目的は?
なんといっても1番はバンクーバーの夜景。冬の日は夏に比べ空気が澄んでいて、眺めが抜群。この絶景とメルヘンチックな雪景色を楽しみに来る人も多いようなんです。

グラウスマウンテン

レストランはダウンタウンの夜景が
一望できる場所にある。

  この夜は、友人のご両親(60代と70代)も一緒に来ているとのこと。「えーっ、パパたちスキーするんだっけ?」いえいえ、彼らのお楽しみは、先ほどの夜景。
私たちがスキーをしている間、友人のご両親U夫妻は「グラウスマウンテン」にある「The Observatory Fine Dinning」で、ゆったりとお食事だったよう。

「いやー最高だったよ。夜景もきれいだったしさあ、食事もワインもいけたよ」と、食事を終えレストランから出てきたU氏の上機嫌な第一声。

グラウスマウンテン

山頂から見えるバンクーバーの夜景。

日ごろから、食べ歩き大好きなU夫妻が言うのだから、お味のほうも間違いなさそう…
スキー場にある、しかも山の上のレストランなんて「ロケーションだけが魅力なのでは」と思っていたので、本格的なお料理がいただけるとはちょっと意外でした。




グラウスマウンテン

のどかな感じのスケート場

  レストラン以外にも「グラウスマウンテン」では、シアターで映画を鑑賞したり、ゴンドラステーションの前にあるアイススケートポンドで、スケートも楽しむのも人気のようです。雪の中を散歩する人、夜景をバックに写真を撮る人、思い思いの冬の夜を過すために人々が、雨のバンクーバーからエスケープしにやって来ます。
なるほど、焚き火にくべられた木の香りが漂うウインタービレッジは、体だけでなく心もぽかぽして幸せな気分になれそう。

  そして冬の日の長雨のおかげで、山々にこんな素敵な世界を作り出しているんだな〜と、雨の日もありがたく思えるから不思議。

 

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