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Ritsumeikan at UBC

立命館・UBCジョイントプログラム
・レポート17

熊谷 樹里 さん

熊谷 樹里 さん
(くまがいじゅり)
立命館大学国際関係学部 国際関係学科国際インスティテュート協力開発コース2回生

趣味は食べることが難しい様々な国の料理にチャレンジすること。将来の夢は、外国との関わりのある職業に就くこと。


立命館・UBCジョイント
プログラム


  立命館大学とUBCが共同で開発したカリキュラムに基づき、学力と語学力の向上とともに、カナダでの生活体験を通して国際人として成長することを目指したプログラム。立命館大学と立命館アジア太平洋大学の学生100名が毎年UBCに1年間留学し、言語教育科目や環太平洋研究、異文化間コミュニケーション等を受講し、インターンシップ活動にも参加している。




カナダで日本文化を紹介して
気付いたこと

写真 


  私たち立命館大学の学生は、8月の夏休みにバンクーバーアイランドのコモックスという街で約3週間のホームステイを行い、カナダの家庭生活を体験した。そしてそのプログラムの一環として、「フォールフェア」という地域イベントにボランティアとして参加しカナダの人々に日本文化を紹介したが、日本にいた時には見えていかった日本文化の価値に気づくことができ、私にとって大きな経験となった。

  このイベントが始まる直前まで、カナダに住む人々が日本文化に触れてどのような反応をするのかとすごく楽しみだった。一方、日本文化に興味をもち楽しんでもらえるのだろうかと不安に思う一面もあった。
しかし実際には、たくさんの人々が私たちのところに訪れて日本文化を体験し、そして楽しんでくれた。訪れる人の中には「コンニチハ」「アリガトウ」と知っている日本語で気さくに話しかけてくれる人々もたくさんいた。

  会場の中では、黙々と折り紙を折り、完成させるとほっと笑顔を浮かべる子供や、折り紙の作品がひとつできあがると「今度は鶴!」と、もう一度折り紙に挑戦する子供たちの姿があった。私たちが習字する様子を真剣に見つめ、書きあがったものを手にして笑顔を浮かべる人々、「家族にもプレゼントしたいから、もう一枚書いて!」と子供だけでなく、大人も夢中になっていた。そんな様子を見て、異文化交流はなんと素晴らしいものであろうという気持ちになった。

 折り紙や書道、茶道などを英語で説明することは難しい。それでもカナダの人々が日本の文化を楽しむ様子を目にして、言葉が通じなくてもお互いにコミュニケーションを図ることができることを実感した。

 

質問に答えられないことで発見

  私が特に強く感じたことは自国の文化を知ることの重要性と伝統文化を維持することの大切さだった。

  今回のボランティア活動の中で、日本の文化について質問されることがしばしばあった。しかし、その質問の中には私が答えることができないものがいくつかあった。その度に自分の国の文化であるのに答えることができず非常に悔しい思いをした。そのような状況になって、初め日本の文化についてもう一度見つめ直さなければならないと思い、そして自分の国の文化を紹介することも、外国の人々と交流を行う際の一つの重要なコミュニケーションツールであると改めて実感した。

  伝統文化は長い年月をかけてその国で受け継がれてきたものであり、昔の人々と現代に生きる人々を結ぶ役割を果たす素晴らしいものだ。グローバル化の推進により、あらゆる国の文化が国境を越えて容易にやってくる時代になった。外国文化の影響を受け、日本の文化も変わりつつある。しかし、文化というものは国ごとに差異があるからこそおもしろいのであると気付き、今回のイベントを通し、自分の国の特徴を誇るためのものとして、伝統文化を維持していくことは大切であると強く感じた。そして現代の日本では、茶道や書道に触れる機会がそれほど多くないことを残念に思った。子供の頃に折り紙を使って遊ぶことや、夏祭りで浴衣を着る習慣は決して失われてほしくない。

  今回のボランティアを通して得た経験は、日本の文化を見つめ直す素晴らしい機会を与えてくれ、私の留学生活の中で非常に貴重なものとなった。

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